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心に移りゆくよしなしごとを、教育、音声言語、認知科学、環境倫理などの視点から、そこはかとなく書いています
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目次
1.自然と人工

2.繰り返しは偉大である

3.子供の質問にはすぐ答えてはいけない

4.海外カルチャーショック

5.東と西のはざま

.ロシアの話

徒然草を読み返す

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自然と人工  1.キレた先生
小学校4年生の時、大石君という子がクラスにいた。やんちゃ坊主だったが暴れん坊でもいじめっ子でもなかった。ある日、朝のホームルームで女の子が手を挙げて、「先生、昨日学校の帰りに大石君が畑に入ってれんげを取っていました。寄り道はいけないのにまっすぐに帰らず悪いことをしてました。」と告発めいたことを言った。港町のため畑は少なかったが、学校の周りには少しだけ畑があった。先生はベテランの女教師であったが、激怒した。そして言った。「〇〇さん、大石君の何が悪いの! 家にまっすぐに帰ることがいいことか! 大石君のように自然の中で遊び自然にふれることの方がずっと大切じゃないの。 大石君は褒められるべきなんだよ。大石君、よくやった!」 先生がこめかみに青筋を立てていたこともあって、衝撃的な思い出となって頭に焼き付いている。クラスのみんなは驚き(今風に言えば)引いていた。最も驚いたのは大石君だったかもしれない。   (2021.3.5  続く)

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自然と人工  2.田畑は自然か
大石君事件後、いろいろ考えてしまった。まず、先生というのは必ずしも規則を守る子供を良しとするわけではないということ。少し先生という職業人を見直したし、教員のあり方として勉強になった。その一方で考えたことは、花をとるという行為が褒められることなのかどうかということ。そもそも花の命を滅することもそうだが、れんげ草は休耕中の畑に窒素を施すために植えてあるのではないだろうか。その花を摘むことが褒められることなのかということ。そしてもう一つ。畑や田んぼは人間が作ったものなので、自然ではなく人工物ではないのかということ。人はよく、田舎にいって田畑を見ると自然豊かでいいと言うが、正しくない。動物園や植物園に行って自然に触れると言うが、正しくない。日立中央研究所に来訪した人々は、日本庭園を見て、自然に囲まれた研究所で仕事ができていいですねと言うが、正しくない。すべて人工物である。田畑、動物園、植物園、日本庭園は自然を人間に近づけるための人工といえる。   (2021.3.12  続く)

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自然と人工  3.自然はそのままにしておくのがベストか
自分の周りを見回してみれば、自然に見えるものの多くは人工物である。自然公園といわれるところでもかなり人間が手を加え管理している。全く人間が手を加えないものを自然とすれば、道がないなど人間がアクセスしにくいところでしか見られない。自然は手をつけずにそのままの状態で残すべきであるという人が多い。それはある部分賛同できるが、全面賛成できない側面がある。それは、自然を放置しておくと環境問題になってしまう場合があることだ。たとえば、日本の伊豆では、ニホンジカが多く繁殖し、ササや下草、若い木を喰いつくしてしまい植生を破壊しているという問題がある。そのため、狩猟の重要性が叫ばれているくらいだ。あるいは、手を加えられない地震や噴火などの災害は自然そのものであり、環境や生態系を変えてしまうこともある。自然は大切にすべきなことは言うまでもない。ただし、ある程度手を加えることもやむを得ない。人間のエゴと思われるかもしれないが、自然は管理しなければ、人間だけでなく動植物も滅んでいく可能性がある。例えば、土砂崩れを防ぐ植林や下刈り、富栄養化を防ぐ海底泥状態の改良などは、人間のみならず動植物を含む生態系を守る重要な人工といえる。自然対人工が善対悪であるという図式が必ずしも適切でないことがわかるかと思う。   (2021.3.19  続く)

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自然と人工  4.語尾の母音が消える
普段しゃべるとき、語尾の「です」「ます」をどのように発声しているだろうか。「desu」「masu」のように発声している人は少ないと思う。どういうことか。実は、多くの人が「des」「mas」のように最後が子音で終わるように発話しているのだ。つまり、語尾の母音が消えているわけであるが、面白いことにほとんどの人はこれに気づいていない。これは「母音の無声化」と呼ばれる現象である。  我々は共通語で話すとき(標準語と呼ぶ人もいるが、日本では標準と定められた言語はないので、厳密には標準語ではない)、語尾が「です」「とき」のように、「ki」「ku」「shi」「su」などで終わる場合には「i」や「u」を発声せず、母音の無声化が起こる。正確には、無声子音の直後の「i」や「u」は無声化しやすいということになる。   (2021.3.26  続く)

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