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心に移りゆくよしなしごとを、教育、音声言語、認知科学、環境倫理などの視点から、そこはかとなく書いています
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東と西のはざま 2.「知らない」と「知らん」が混在した高校
東日本と西日本との線引き方法の2つ目は言語学的境界だ。これにもいくつかの指標がある。もっとも知られているのは、否定の<ない/ん>である。私は、静岡県のほぼ中央の藤枝というところの高校に通っていた。入学して早々に気づいたのは、「知らない」「わからない」という生徒と、「知らん」「わからん」という生徒が混在していることだった。自分は<ない>で育ったので、<ん>にはずいぶん違和感があった。つまり、<ない/ん>の境界上に高校が建っていたのだ。居住地でみるとどうやらその境界は大井川という川であることを突き止めた。まさに、はざまに立つ高校だ。おそらく新潟県西辺りでも同じようなことがあるのだと思う。静岡で18年、東京で35年、京都大阪で3年過ごした経験から垣間見た東西の違いとそのはざまの文化について紹介したい。    (2022.3.11  続く)

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東と西のはざま 3.「ヘビがあった」
東日本と西日本を分ける言葉に、その他<いる/おる>がある。「Aという人がいる」と「Aという人がおる」という具合である。藤枝の高校では「おる」という生徒はいなかったので、この境界は大井川でないことは確かである。名古屋の人はほぼ「おる」を使う。境界はその間ということになる。浜松の知り合いと話をしているとほぼ「いる」派だが、たまに「おる」派がいる。ということから<いる/おる>の境界は浜名湖付近と結論付けられそうだ。会社に入社した頃に、同僚と南紀に行ったことがある。熊野の景勝鬼ケ城のがけっぷちを歩いていた。ここは荒波の侵食によってできた凹凸の激しい断崖である。かろうじて通れる幅の細い崖伝いの通路を歩いていると、地元のおじさん2人とすれ違った。そのとき、そのうちの1人が「気をつけんとヘビがあるで」と言った。以前から、生物の存在を表す<いる/おる>の他に<ある>を使う地域があるというを聞いていたので、思わず「これか!」とかなり感動したのを覚えている。 (2022.3.23  続く)


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東と西のはざま 4.「そうだ」と「そうや」
「そうだ」と言うか「そうや」と言うか。断定の助動詞「だ」は北海道から名古屋辺りまで使われている。しかし、岐阜県の知り合いと話をしていると「や」を使う人が多いように思われる。これが東日本と西日本の境界とすると、静岡や愛知は東日本ということになる。日本海側では、やはり新潟と富山の境界辺りではないだろうか。岐阜からは西に向かってずっと「や」なのだが、岡山から山口までは「じゃ」となる。岡山や広島で女性や子供に「そうじゃ」と言われびっくりすることもある。そういえば岡山には「総社」もある。山口を過ぎて九州に入るとまた「や」に戻る。しかし、四国や九州では「じゃ」を使うところも多いようである。沖縄では「や」「だ」「やん」が混在しているようだ。 (2022.3.30  続く)

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東と西のはざま 5.関はどこか
関東と関西は文字通り関所の東側と西側を意味しているが、関とはどこの関所を指すのか?言語の違いから考えて、関ヶ原の関所、つまり不破関が境界かと思っていたが、実は、この不破関に加え、福井の愛発関、三重の鈴鹿関の3点を結ぶラインで東と西を若手いたのが鎌倉時代。その後、江戸時代になってから、神奈川の箱根関、八王子の小仏関、群馬の碓氷関の3点を結ぶラインで分けられたらしい。そうなると、静岡は関西ということになるが、これらのラインがフォッサマグナに近いのが非常に興味深い。 (2022.4.6  続く)

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東と西のはざま 6.アホバカ論
昔は、「大阪の人とは「アホ」と言われても笑って済ませられるが、「バカ」と言われるとカチンとくる。それに対し、東京に人は逆である。」と言われたものだが、現在はそんなことはあまりない。東京の人でも「アホ」と言われた方が「バカ」よりはカチンと来ない人が多い。これは、漫才ブームからお笑いブームまでの関西勢の活躍とメディアの影響だろう。それでも、自然と口から出るのはどちらかというのは、明確に、近畿地方「アホ」とその他「バカ」で分かれる。ところが、静岡から愛知、岐阜に辺りでは、「タワケ」という言い方がはびこる。これは「戯ける(馬鹿げる)」から来ているようだが、「アホ」と「バカ」のはざまに「タワケ」がある理由はよくわからない。  (2022.4.20  続く)


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