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心に移りゆくよしなしごとを、教育、音声言語、認知科学、環境倫理などの視点から、そこはかとなく書いています
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自然と人工 8.AI
AI(人工知能)が大きく進展し、我々の日常生活にも入り込んできている。AIが人間を超えるのはいつ頃ですかという質問をよく受けるが、意味がわからない。新聞記事でAI専門家と称する人が、AIは将来意識や感情を持つだろうと言っているのを見かけるが、これも意味がわからない。シンギュラリティという言葉を使って、AIが人間を超える知能をもつ特異点が数十年後にくると言う人がいるが、本気で言っているのだろうか? AIの原理を理解している人はこんなことは言わないと思うがどうだろうか?AIと人間は全く別のものである。確かに、計算速度や判定速度、記憶容量など人間の情報処理機能のいくつかは、明らかにAIが勝っている。ただそれだけのことである。現時点のAIは人間の脳内のニューロン結合をコンピュータ上に模擬実現したもので、再現性のある事象に関して予測したり判定するなど、人間のもつ情報処理機能の一部を代行をしてくれる。しかし、人間は単なる処理装置ではない。脳の奥深いところにある大脳辺縁系付近から発せられる欲求、情動。これらは人間を人間たらしめる重要な特性であり、ここに意識や欲求、情動が発信される。自分が我であることがわかる、自分が今やっていることがわかる、自分がどんな状況にあるのかがわかる、痛い思いや悲しい思いはしたくないと思う、人が喜んでくれるとやりがいを感じる、こういったことが意識といえそうだが、要するに意識とは何か、さらに、こういった意識や欲求、感情はどういう物質がどのように作用して生まれるのか、これはいまだに明らかになっていない。AIがあたかも意識を持っているかのように見せることはできる。しかし、これはあくまでも人間がそう見せかけているだけで、AIが自分が我であることがわかるわけでもないし、感情や意見を持つわけでもない。我々がもつ意識とは根本的に違うのである。感情についても、ある映像や音楽を入力し、その際に人間が抱く感情、楽しいとか悲しいなどをAIに機械学習させることはできる。しかしながら、それは入力されたものに対して感情を判定させるだけであって、AIが何か楽しいことをしたいとか悲しいことが嫌だと思うわけでは全くない。AIは自然言語すら理解できていない。特に、複雑な文や省略の多い文はまるでわからない。将来、AIが人間を攻撃することはないのかと質問する人もいる。これは、あるとしたら、人間がプログラムによってAIに人間を襲わせるようにしているだけのことである。会社の人材採用で、AIを用いてスクリーニングを行うところが出てきている。過去の履歴や成績から会社で活躍しそうな人材を選ぶというわけである。これについて、AIが人を選ぶ時代になったと言う人がある。そうではない。人間がただAIを使って人材を選んでいるにすぎない。AIは自ら何かをしようとはしない。AIの行動はすべて人間の意識に帰着する。 (2021.4.23 続く)
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