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心に移りゆくよしなしごとを、教育、音声言語、認知科学、環境倫理などの視点から、そこはかとなく書いています
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子供の質問にはすぐ答えてはいけない  4.思考は言葉で行う?
我々の思考は、頭の中で言語によって行われているのだろうか? 例えば、三段論法をはじめ論理的思考は言語によって行われている可能性が高いと思われる。では、乳児はどうなのだろうか? 最近、孫が生まれて、一語が出てきたのは生後1年数か月後である。しかし、それまででも、電灯のリモコンのボタンを押してつけたり消したりしたり、積み木を積み重ねたり、パパにお休みしてと言われると父親にバイバイしたりと、単なる感情表出だけでなく明らかに判断など思考行動をしている。また、言語をもたないカラスが、クルミをくちばしにくわえて車の通る道路に落とし、車が踏みつぶして硬い殻が割れたところを中身だけ拾うという、高度ともいえる知識を使ってさまざまな判断に基づき行動している。つまり、必ずしもすべての思考が言語によって行われているわけではないことも明らかである。人間の成人であっても、例えば、近所のポストに郵便物を投函に行くときには、ほぼ言語的思考によらずに、視覚情報だけで達成できそうだ。歩いていて道に落ちている枝をよけるときにも、言語的思考を行っているとは思いがたい。視覚情報と長期記憶情報との照合である程度行動できる場合が多そうだ。    (2021.7.28  続く)

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子供の質問にはすぐ答えてはいけない  6.子供の質問にはすぐ答えてはいけない
子供が幼稚園年少くらいになると盛んに質問をし出す。知り合いの一人は、連日朝5時になると、夜早く寝た子供が起きて「お父さん、どうして○○は□□なの?」と聞くようになってまいったと言っていた。子供に質問されたとき、ある年齢まではある程度答えを教える必要はあるのだが、それは、検索と何ら変わらないことに気づく必要がある。大事なことは子供に考えさせること。そのためには、子供に質問されたらすぐに答えず、逆質問をすることだ。
子「どうして、セミは夜鳴かないの?」
親「どうしてだと思う?」
子「夜は暗いから。」
親「すごいね。なぜ暗いと鳴かないのかなあ?」
子「静かに寝たいから。」
親「なるほど。そうかもしれないね。」
子「仲間に声をかけても暗くて遊びに来られないから。」
親「そうかもしれないね。鋭い!」
子「夜は暑くないから。」
親「なぜ寒いと鳴かないのかなあ?」
子「口が動かないから声が出ない。」
親「さすがだね。でも、あれは声じゃないらしいよ。音みたいだよ。」
子「え、声じゃないの。」
親「音みたいだよ。」
子「どこから出しているの。」
親「どこだと思う?」
子「足?」
親「足であんな大きな音が出るかなあ?やってみたら?」
子「出ないね。頭から?」
親「頭であんな大きな音が出るかなあ?やってみたら?」
子「出ない。口でも足でも頭でもないともうないよ。」
親「残るはどこなかあ?」
子「もうない。」
親「いや、あるでしょ?セミって飛べること知ってる?」
子「もしかして羽?でも音が出ないよ。」
親「ピンポン!じゃあ、うちわとうちわをこすってごらん。
子「音が出るね。」
親「貝殻と貝殻でやってごらん?」
    :
こんな風に、正解が出るかどうかはさておき、なぜの問答を繰り返すことによって、子供の思考力はかなり高まる。特に因果関係に基づく思考の訓練だ。これは、ソクラテスが盛んに行った問答法に他ならない。ところどころで褒めることも忘れてはいけない。 (2021.8.11  続く)

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子供の質問にはすぐ答えてはいけない  7.高齢者にも簡単に手を貸さない方がいい時もある
頭を使うことを怠ると脳内のニューロンの結合は広がらず強度も高くならない。同様に、体を使うことを怠ると筋繊維が発達しない。先日も書いたように、繰り返すことによって脳に刷り込み積分で力を蓄えていく。子供は考えることと動くことを怠るべきでない。もちろん大人も同じである。当然、高齢者も例外ではない。子供の質問にもすぐ答えない方がいいように、高齢者にもすぐに答えを教えず逆質問をするなど対話した方がいい。これは、認知機能を衰えさせないためにも重要である。車で玄関から玄関までという考え方ではなく、少しでも歩かせた方がいい。足の筋肉が衰えると肉体だけでなく認知機能衰えにもつながる。重いものは持ってあげた方がいいが、それほど重そうでない場合は簡単に手を貸さない方がいい時もある。このような習慣が体や認知機能の衰えを少しでも遅らせることになる。もちろん、やさしい言葉をかけることを忘れてはいけない。簡単に手を貸さないイコール冷たくしなさいということではない。 (2021.8.19  続く)

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子供の質問にはすぐ答えてはいけない  10.人間が考えることを怠っていいのか
「人間は考える葦である」と思想家パスカルは言う。考えるということはどういうことか?例えば、学生に「考えるということはどういうことか?」という質問あるいは課題を出すと、「考えるとは」というワードでネット検索して出てきた情報をカットしてそのままペーストして回答とする者(A)と、「考える」「思考」「熟考」などいくつかのワードで検索し出てきた情報から自分なりの「考える」という概念を組み上げる者(B)、そして、全く検索などせずに「考える」という概念を作り上げる者(C)とがいる。(A)のタイプは、検索にちょっと頭を使う程度で、それ以降はデッドコピーであって考えたことにはならない。(B)と(C)は、前提となる知識が自分の外にあるか中にあるかの違いで、最終的には自分の頭で考えたことになる。このように、「考える」ということは、必要な知識を集め、それら、あるいはそれらから連想される知識などから、推論、さらなる連想、アナロジーなどで解を見つけることである。つまり、あらゆることを知識として身につけていくだけでは、知識の宝庫になるだけであり、思考力は身につかない。知識が断片化して保存されていてもそれは力にならない。自己の内外にある知識の数々をどうやって組み合わせ、人生で突き当たる様々な問題の解決につなげるかというところがその人の思考になる。思考の結果がまた新たな知識となる。このようにして、思考の連続によって脳細胞同士がどんどん結合を繰り返し、新たに様々な記憶となって定着していく。そして、人間の力が作られていく。考えることを積み重ねること、それはとても大事なことなのである。  (2021.9.9 「子供の質問にはすぐ答えてはいけない」終わり)


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徒然草を読み返す  1.友人とするのによくない人とよい人

高校で習った徒然草は、改めて読み返してみると、当時よりも歳を重ねてからの方が、へえ~とかなるほどとか、そうかなあなど、さまざまに思うことがあり、趣き深い。無病で頑丈な人が友人としてはよろしくないというのは面白い。

<117段>
友人とするのによろしくない者に7つある。身分の高い人、若い人、無病で頑丈な人、酒好きな人、武士、うそをつく人、欲張りな人。
よい友人には3つある。ものをくれる人、医師、知恵のある人。



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