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心に移りゆくよしなしごとを、教育、音声言語、認知科学、環境倫理などの視点から、そこはかとなく書いています
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繰り返しは偉大である  6.嫌な思いは簡単に長期記憶に
長期記憶には、「金閣寺を建てたのは足利義満である」「ドイツの首都はベルリンである」のように知識と通常呼ばれる意味記憶と、「先生にひどく怒られつらかった」「人にいじめられ嫌な思いをした」「カナダの壮大な景色を見て感動した」などの体験的な記憶であるエピソード記憶がある。前回まで書いたように、長期記憶は何度もリハーサルを繰り返すことによって脳に刷り込まれる。ところが、エピソード記憶の嫌な思いなどは、リハーサルをしなくても頭に残っていつまでも消えない。つまり、簡単に長期記憶に入ってしまう。これはなぜか。まだ完全には解明されていないのだが、情動をつかさどる大脳辺縁系の中の扁桃体と呼ばれる器官の影響を受けて、その時の感情とともにリハーサルを繰り返さないで長期記憶に入るという説や、嫌な思いをしたことは、どうしても頭の中で何度も考えてしまい、結果的にリハーサルを繰り返すため長期記憶に入るという説などがある。いずれにしても、記憶と情動が海馬付近で相互に関係していることは確かであろう。     (2021.6.9  続く)

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